「DNA配列情報の利用に対する利益配分」の基礎 1の続きです。
DNA配列情報(Digital Sequence Information; DSI)に対する利益配分は間違いなくCOP15とPost 2020 Global Biodiversity Framework (Post2020GBF; 愛知目標後継の10年目標)の最大の焦点です。
この問題の背景を理解するには、CBD(生物多様性条約)が生態系保全だけの条約でなく、なぜ利益配分を含むのか、CBD, 名古屋議定書での利益配分の対象について理解するのが近道かと思います。
簡単に言えば、CBDができた時の状況はこんな感じだったようです。舞台は、先進国が経済発展した1980年代です。
そういうわけで1992年に生物多様性条約が採択され、目的も保全だけでなく、利用と利益配分が含まれることになりました。
この時点ですでに、遺伝資源(利益配分の対象)はマテリアルと決まっていました。その後、CBDのABS部分が名古屋議定書として採択されますが、遺伝資源の定義は変わりません。
続きは以下のとおりです。
30年の歴史を30病にまとめていますので、色々無理がありますが。。。あしからず。
しばらくして、途上国側が遺伝子情報の有用性に気づくところとなり、DSIを利益配分に含めるように求めますが、”遺伝資源”はマテリアルなので、情報を含むのは不自然ですね。とは言え、途上国は先進国よりも圧倒的多数ですので、勿論国際情勢上は無視できません。
先進国側は、途上国側の要求への反対を一通り行い、現在も再度先進国のターンです。おそらく妥協点を見つけるしか無いのですが、先進国側はどこを妥協点とするか決められていません。現在、EU, 日本それぞれで妥協点を探しているところかと思います。(つづく)