2021-01-13

ABSに関連した論文撤回(retraction)2報 の続き

ABSに関連した論文撤回(retraction)2報  の続きです。

 

 前回紹介した論文のうち韓国人著者らのクワガタ再分類について、なぜ著者らが撤回にいたったか改めて考えてみました。(水生昆虫の新種記載については契約違反(許可証で許可されていなかった行為(論文出版))ですので、撤回は理解しやすいです。) サバ州が、州法を域外適用させたことも驚きですが、韓国がその域外適用を受け入れて論文を撤回したのであれば、なおさら驚きです。

2021-01-04

ABSに関連した論文撤回(retraction)2報

<<著者にインタビューできたのでどちらのケースも修正しました。>>

ABSに関連した理由で撤回された昆虫分類学の論文2報を紹介します。 アマチュアの昆虫学者と交流のある同僚に教えてもらいました。

2020-11-29

DNA配列情報の利用に対する利益配分 4  利益配分すれば途上国の生物多様性保全につながるか?

 DNA配列情報の利用に対する利益配分 3 ー整理・全体像ー の続きです。

 今回は、下図のIIIの2点についてです。

 DSIに対して平等に利益配分を行った場合に、利益配分は、主張の強い途上国に向かうのでしょうか? この点について、CBDが報告書を作成しています。

Rohden et al. 2019. Combined study on DSI in public and private databases and DSI traceability.

 この報告書はドラフトなのでNot for citationですが、peer reviewから一年経っても正式版にはなっていないようです。

2020年1月に改訂版が出ていることを教えていただきます。

https://www.cbd.int/meetings/DSI-AHTEG-2020-01
https://www.cbd.int/doc/c/1f8f/d793/57cb114ca40cb6468f479584/dsi-ahteg-2020-01-04-en.pdf

2020-11-13

DNA配列情報の利用に対する利益配分 3 ー整理・全体像ー

 DSIの問題がCBD(生物多様性条約)だけでないこと(1)、利益配分がCBDの成り立ち(1992年以前)からの一貫した課題であること(2)を紹介しました。

 それ以外にもDSIは様々な問題を巻き込み非常に複雑な状況となっています。それぞれの問題を紹介する前に、私の頭の中の整理を紹介したいと思います。(下図)